東京・六本木のけやき坂にあるジャン-ジョルジュ東京。
扉を開けると目の前にはオープンキッチンが広がり、カウンターには美しいカトラリーが並んでいます。
椅子に腰をかけ、シャンパンを飲みながら眺めていると、
シェフ達の華麗な動きにはライブ感があり、それがまるで映画でも観ているかのように美しいのです。

私はこの洗練されているけれど、気取りすぎず、砕けすぎていない大人の空間が本当に大好きで、以前他に他媒体でも取り上げさせて頂いたほどです。

この春、一周年を迎えるジャン-ジョルジュ東京にジャン・ジョルジュ氏ご本人が春の新メニューと共に来日。
お話を伺う事が出来ました。
屈託のない笑顔を見せながら時に熱く語るその姿は、料理人という枠を超えて、アーティストであり、ビジネスマンであり・・・あらゆるマルチな才能を持ち、料理で私たちを楽しませてくれるエンターテイナーでした。

プライベートはいつもプラダの洋服だというジャン・ジョルジュ氏はファッションが大好き。
そのセンスは料理やお店作りにも活かされています。
「お客様は感度の高い方が多く、センスは重要だと考えています。料理の盛りつけはもちろんの事、全店舗においてデザイナーと話し合いながらその場所に合ったテーマを決めてお店の空間を演出しています。東京店はモダンで光も多いため、それを大いに活かす空間作りをしました。」とジャン・ジョルジュ氏。

彼の考え方は、とてもシンプルで、個人的にはその「シンプル」にこだわっている所にも共感しました。
「キャビアやフォアグラは別ですが、とにかく食材は地元の新鮮なものを使うようにしています。
出来るだけ素材の旨味を活かしてシンプルに。手を加えるのは最小限にしたいんだ。」

そして彼の「シンプル」へのこだわりは、ここでも感じられます。
ジャン・ジョルジュグループの中でNYにあるオーガニックレストラン『ABC Kitchen』は築110年の建物の中にあり、シンプルで洗練された雰囲気の『JG ジャン・ジョルジュ』とは打って変わって、非常にガーリーな空間。
一番人気はケールサラダ。
食材はすべて農場からの直送、カトラリー類はリサイクル。
お店で出た人参の皮をエサにして飼育した鶏を提供していたりと、その徹底ぶりが評価され、NYのレストランで唯一100％オーガニックの証明書が出された程なのだそう。
この大人気のケールを使ったメニューがジャン-ジョルジュ東京に登場する日もそう遠くないのだとか。
今後、ラムチョップやカラマリ、お豆のスープなど、ジャン-ジョルジュ東京と言えばこれ！と言われる名物料理を生み出し、お客様に提供していきたいとも語ってくれました。

ジャン・ジョルジュ氏は想いを込めて、こう続けます。
「私は日本食のスタイルに影響を受けてきました。特にお寿司は一口食べたときの感動が素晴らしい。
だから私自身も、一皿一皿食べるごとに何かしらの味わいが出るように工夫しているし、毎回同じ感動をお客様に提供したいと思っています。一口目と最後の一口の感覚が同じでなければ、その料理は良いものではない。そう思うのです。」

そして最後は笑顔で、

「忙しい毎日の中、仕事を終えてジャン-ジョルジュ東京に来て頂ければ、
外であった嫌な事など全て忘れられるさ。
人生は短すぎる。だから、美味しいものを食べなくちゃ！」

この名言に心を震わせながら、ジャン-ジョルジュ東京で美味しい春を堪能したのでした。

ジャン-ジョルジュ東京
〒106-0032 東京都港区六本木6-12-4 六本木ヒルズ
TEL: 03-5412-7115

営業時間
Lunch: Mon-Sunday 11：00-15：00 (LO:14:30)
Dinner: Mon-Sunday 17：00-0：00 (LO:Food22：00/Drink23：00)
テラス席: Mon-Sunday 11：00-22：00

http://www.jean-georges-tokyo.jp

撮影／神ノ川智早　取材・文／廣瀬規子