私の朝は、お湯を沸かし、豆を挽いてコーヒーを淹れる所から始まる。

少し苦くて甘いコーヒーの香りにキッチンが包まれる頃、少しずつ目が覚めて来て、コーヒーを３口程飲むと「さぁ、今日も頑張りますか。」と、脳にスイッチが入るような仕組みになっているみたい。

ここの所、日々の事をこなしながらふと部屋の殺風景さに気が付いて、心が枯渇していた事にも気が付く瞬間がたまにある。

そんな時は花屋に行って、その時の気分で眺めていたい花をいくつか買うようにしている。

芍薬、トルコキキョウ、薔薇、ヒマワリ・・・などなど。季節に応じて少し華やかな花を買って、花から元気と優雅さをもらう。

昨日花屋に行った時は、薔薇の気分だった。日常にはちょっと贅沢かな？と思いながら何とも言えない美しいピンク色の薔薇を２０本。ガサッと花瓶に入れて、ダイニングテーブルの真ん中に飾った。

薔薇と珈琲の香りがリビングを包んで、より奥深い色気のある香りになる。

どこで香った香りだったっけ・・・。

大好きなあの香りを思い出した。TOM FORD の CAFÉ ROSE。

可憐なローズのイメージだけではない、どちらかと言うと薔薇が持つ棘の部分、

美しいものが持ち合わせた別の顔もミックスされているような、何とも言えない色気のある不思議な香り。
 

 

特になんでもない日に纏う香りには、必ずと言っていいほどムスクの香りがほんのり混じるものを好む私。
このCAFÉ ROSE もそう。

さぁ、外は雨。足首に重ね付けた香りが雨に濡れた時、CAFÉ ROSEはどんな香りを放つんだろう。
ちょっとドキドキしながらドアを開けた。