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【2日目】地元の名品と出会い、歴史と情緒が宿る街を訪ねる、しっとり静岡女子旅

post date:2015.12.28

朝。なんと外は嵐のような雨。けれども窓の外をみれば昨晩到着時には見えていなかった浜名湖の絶景が幻想的に見えました。
朝食バイキングでホテル九重名物の“朝カレー”を見つけて大喜びしたのは編集長。
「今日もしっかり食べて(笑)、旅を楽しみましょ」
この朝カレーで気合をいれたせいか、出発する頃には雨も止んで太陽が燦々と。みごとな晴れ女ぶりを発揮。
2日目のスタートは、オトナ女子の胸をときめかせる「磐田市香りの博物館」です。

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香りの文化史の常設展をはじめ、香りに関する企画展など、さまざまな香りを学べて体験できる珍しい博物館であるここでのおすすめは「香りの調香体験」です。そう、自分で調香してマイフレグランスを作ることができるのです。

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まず、8タイプある基本の香りから自分好みをひとつ選びます。そしてコンピューターの質問に答えると、その人に合った香りのレシピが出てくるという流れ。そして、レシピ通りの材料を受け取っていよいよ調香タイム。ベースに同じ香りを選んでいても、コンピューターが判断したレシピはそれぞれ異なるので、みんな同じ香りになることはありません。

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理科の実験のごとく調香して、最後に自分でボトルに詰めるのです。
「ほんとうに自分の好きな香りになるので、不思議〜。しかもレシピに書かれている、今の心の意識について書いてあったことが、全部当たっていてすごい! まるでセラピーか占いみたい」と興奮する編集長です。

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大満足の香り体験のあとは、これまたオトナ女子の心をぐっと掴む、素敵なストールを見に「Fukuda Orimono」へ。
極細の120番手のコットンの糸を使って、まるで天女の羽衣のような薄く、透け感のある生地を得意としているメーカーで、誰もが知っているような、世界的なラグジュアリーメゾンもこちらの生地を採用し、その素晴らしさを絶賛。静岡から世界発信している生地メーカーなのです。

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この最も得意としている生地を使って、オリジナルのストールブランドを展開しているとか。さっそくショールームでいろいろ見せてもらいました。
「カラーバリエーションが豊富で、ほんとうにきれい! 見ているだけでも美しいけれど、巻いてみるとふんわりとした心地よい肌触りで軽くて使いやすいですね」

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その名も「光透けるストール」は、幅85×長さ200㎝もある大判サイズなのに、なんと重さはたったの45g! しかも自宅で洗濯もできてしまう優れものなのです。美しい発色は洗濯しても色落ちしないのも特徴のひとつ。
編集長の一目惚れストールは、春が待ち遠しくなるようなフェミニンな淡いピンクの一枚です。

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今日のランチは明治時代末期の創業といわれる老舗割烹旅館「八百甚」へ。なんといっても明治時代と昭和6年に建てられた入母屋造りが入り混じる、風情たっぷりのお店の雰囲気がなんとも素敵。

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こちらでいただくのは、静岡掛川名物の「いも汁」です。いも汁とは掛川名産の自然薯をすりおろし、鯖出汁、味噌を混ぜ合わせた郷土料理。自然薯は、昔から漢方薬としても重宝されてきたほど栄養価が高いのです。そして味のアクセントになっているのが鯖のお出汁。これが遠州流ともいえる「いも汁」の特徴のひとつ。「このコクの深さ、食べると内側から元気がわき出るよう」

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この八百甚があるあたりは、遠州横須賀といって、戦国時代にあった横須賀城の城下町の風情が今も残る場所なのです。観光地としての体裁はあえて整えず、町の人が暮らしている気配をそのまま感じ取れる、素朴な雰囲気がなんとも素敵。というわけで食後はこのエリアをぶらぶらお散歩することに。

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町の中心にある三熊野神社では、毎年4月に3日間に渡って三熊野大祭が行われ、町ごとの山車が町を練り歩くのだそうです。ここでは山車のこと袮里(ねり)と呼んでいるそう。この3日間は一年で一番町が華やぐ時。通りに昔の祭りの様子の写真が張り出されていました。

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しばらく散策をしていると、突然小走りで駆け出す編集長。事前にもらっていた町の人が作っている手書きの案内マップ。これで編集長が密かにチェックしていた大判焼きのお店を発見したというわけです(笑) 
「クリームをひとつください!」焼き立てのホカホカの大判焼きは、皮がしっとり柔らかく、中のクリームも甘さ控えめで、思わず頬もゆるみます。

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散策の最後にたどり着いたのは「栄醤油醸造」。この遠州横須賀では調味料でいう“さしすせそ”が地元産のもので全部揃うのもご自慢のひとつ。そのうちの“せ=しょうゆ”がこちらというわけ。
こちらの創業は寛政七年(1795年)の江戸時代から醤油醸造をしているという歴史あるお店。さっそくお店の裏にある醤油工場見学に。

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案内人は若主人の深谷充さん。工場内に一歩足を踏み入れただけで、醤油や麹の匂いに包まれます。長く受け継がれてきた醤油作りのための道具は今も現役。発酵熟成する大きな樽の中も上から覗かせてもらいました。寒いこの時期は静かに発酵しているそうですが、夏の時期はぷくぷくと発酵する音が聴こえてくるのだとか。

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最後に店頭で、お醤油を試食。一番シンプルな「栄醤油」は、厳選された丸大豆をつかって、1年半じっくり熟成された“天然醸造”の醤油。

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「常備菜を作ってストックしておくので、お醤油は欠かせない調味料。すぐなくなっちゃう。すっきりとした味の中に上品な風味が詰まっている栄醤油は、いろいろな料理で活躍しそう」と醤油を手とる編集長。帰ったらどんなお惣菜に使われるのでしょうね。
手づくりで大量生産していないから、ネット販売以外は県外ではなかなか手に入れることができないという栄醤油は、お土産にもぴったりですね。

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お土産といえば、散策の途中で立ち寄った「愛宕下羊羹」の羊羹も遠州横須賀では特筆すべきもの! 明治時代からの羊羹専門店で、当時の作り方のままだから、もちろん合成保存料などは無添加。販売方法も昔ながらで、ケースの中に並べられた裸のままの羊羹を包んでくれるのです。早いと午前中で売り切れてしまうそうですが、この日は幸運なことにまだ残っていたのです。

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生涯の半分を過ごしたという徳川家康ゆかりの地でもある静岡。その名残を色濃く残す、浜松と掛川での1泊2日は、想像以上にバラエティに富んでいるものに。歴女気分で楽しめる旅になりました。
「地元を愛でる人が多い静岡の奥深さを知ることができた旅でした。今回は紅葉を楽しんだので、次は新緑がまぶしい、茶摘みの頃に訪ねるのもいいですね」

 

磐田市香りの博物館
静岡県磐田市立野2019-15
0538-36-8891
http://www.iwata-kaori.jp

Fukuda Orimono
静岡県掛川市浜川新田771
0537-72-2517
http://www.fukudaorimono.jp

八百甚
静岡県掛川市横須賀113
0537-48-2008(要予約)

栄醤油醸造
静岡県掛川市横須賀38
0537-48-2114
http://www12.plala.or.jp/sakae-s/

愛宕下羊羹
静岡県掛川市横須賀1515-1
0537-48-2296

(撮影/山本会里 取材・文/高橋麻紀子)

Noriko Hirose

編集長【写真】

Nstyle主宰。航空会社の客室乗務員から、アルマーニ・ジャパンに入社、アパレルの世界へ。その後、タレントのスタイリストとして活動。現在は“女子力”を提案するスタイルプロデューサーとしてイベントや商品のプロデュース、ファッションブランドコンサルティングをはじめ、ファッション、ビューティー、ライフスタイル情報を雑誌・ラジオ等で発信している。
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