【連載:chez Nicole(シェ・ニコール)】vol/59-無意識の中の意識
post date:2019.04.10
最近、自分の中で「スタイル」と「デザイン」の区別がようやく明確になってきました。
その定義が不安定だった時のモヤモヤがすっきり晴れて
言語化できなかった部分がかなりクリアになっている。
私の場合、それはとてもシンプルで
生き方・生い立ちからくる好きという軸 = スタイル
その時の心境、環境、周囲に求められるもの = デザイン
スタイルは揺るぎない自分の内面からくるものであって、
デザインとしてアウトプットするものは
その時の体験やインプットしたものに起因していると気がつく。
そのデザインの種は、おもしろいほど普段の日常生活の中に散りばめられている。
例えば、先日のパリでのランチ。
暖かな陽射しの中、春の始まりを噛み締めながらの食事はとても優雅でした。
そのままだと、とても質素でそっけない子羊とアーティヨークに
緑と赤紫が添えられているだけで印象が違うよなぁなんて思いながら口に運んだ一皿。
帰国翌日のPOP-UPイベントでお選びしたブーケは、
シンプル
かっこいい
インパクト
地味にならない
をテーマにオーダー頂き、まさにこの一皿の色彩の印象が自然ともとになりアウトプットされていました。
名付けてアニョー(子羊)ブーケ。笑
携帯のアルバムをスクロールして気がついた時に、ふんわりあったブーケの既視感の理由が腑に落ちた。
他にも、サンローラン美術館の最後のコーナーで展示されているネックレス。
こんなに多色使いなのに、まとまりがあるのはなぜだろうとずーっと眺めていました。
この宝飾コーナーは、どれも興味深く1点1点、かなりの時間を過ごしていました。
そして、その残像があったからか、普段とは異なるデザインのアレンジメントが生まれ落ちた。
ここで重要なのは「スタイル」がブレていないかという事。
私のスタイルの根幹は、子供の頃から、外で遊ぶことが大好きで自然の中で育った事。
そして、家の中の暮らしにも四季や植物たちの生命力が散りばめられている事。
それが背景となり、「植物たちの自然な様」がスタイルのベースになっています。
太陽に向かって育つ花や風にゆれる木々の風景。
家の中に溶け込む自然の佇まい。
まさにスタイルにその時々のデザインが反映されているなと気がつきました。
日々の自分の生活を注意深く観察すると
自分の無意識の中の意識が輪郭を表してきます。
振り返ると、尊敬する友人のショコラティエールからも影響を受けていました。
綺麗なブラウンのをベースに、小さなショコラが織りなす華やかな世界。
そこに昔から引き継がれているパリならではの床のデザイン。
振り返れば、振り返るほど、自分のアウトプットの根源が明確になる。
こういう積み重ねで、様々な思考がうまれ、その枝葉がひろがり想像力になるんだなと自分自身の頭の中を見れた気がしました。
通り過ぎてしまう一瞬が今の自分を形成しているという事を
たまには思い出すと何気ない日常にほんのり愛情がわいてくる。
このときめきと情報感度を忘れずに時間を重ねたいなと思う春の始まりです。
フラワーデザイナー 太田 美際 / migiwa OTA IT企業で勤めた後、花修行のためパリへ渡る。現在は、フリーランスにてギフトフラワー・装花・ワークッショプの開催などを行う。 HP:http://migiwao.com IG:jardin_de_muguet |
Nstyle主宰。航空会社の客室乗務員から、アルマーニ・ジャパンに入社、アパレルの世界へ。その後、タレントのスタイリストとして活動。現在は“女子力”を提案するスタイルプロデューサーとしてイベントや商品のプロデュース、ファッションブランドコンサルティングをはじめ、ファッション、ビューティー、ライフスタイル情報を雑誌・ラジオ等で発信している。
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